はじめに:このテーマでは何を問われているか?
昇格・昇進試験の小論文でたびたび登場する「職場における私の役割と課題」というテーマ。
一見すると抽象的なテーマですが、企業側はこの設問を通して、あなたが「どのような立場にあり、どのような視点で組織を捉え、どのように動こうとしているか」を見ようとしています。
いわばこのテーマは、「あなたは課長やリーダーにふさわしいか?」という問いの言い換えです。
業務の棚卸しをしながら、リーダーとしての自覚・成長意欲・課題への向き合い方を自分の言葉で表現する必要があります。
こういったテーマに対し「何をどう書けばいいの?」と悩む方も多いと思います。
でも、完璧な正解を書くのではなく、自分がどうありたいかをしっかり言葉にすることで、評価者の心に届く論文になります。
書き方のコツ1:役割と課題はセット
「役割」は今の自分が期待されていること、あるいは果たしている責任。「課題」はその役割を果たすうえで見えてきたギャップや、よりよくするための工夫ポイントです。
この2つは切り離して書くのではなく、「役割→その役割を果たすために見えた課題」のように、一緒に考えるとその後の展開がスムーズになります。
たとえば──
- 役割:部下の育成とチーム運営
- 課題:メンバーのスキルに応じた育成方法検討
さらに、課題に対して「すでに取り組んでいること」や「今後についての意思や計画」を書くと、これまでの実績をしながら将来についても考えていることをしっかりアピールできます。
書き方のコツ2:書き始める前に考えるべきこと
このテーマに取り組む前に、以下のような問いを使って“考えの整理”をしてみてください。
- 自分の業務の中心は何か?
- その中で自分が担っている責任は?
- 組織から何を期待されていると感じるか?
- チームや後輩とどんな関係性を築いているか?
- 今困っていることは?
- それをどうしようとしている?

リーダーとしての視点を持つには、「自分がどうしたいか」だけでなく「チームや組織にどう貢献したいか」を含めて考えるのがポイントです。
書き方のコツ3:書く前の「メモ」を作っておく
ここでは、製造部門でリーダーを務める中堅社員が、自身の役割と課題をどう捉えているかを例にした論文のサンプルを紹介します。
論文を書き始める前に、自分の頭の中を整理する「メモ」を作成することをおすすめします。これは、いわば論文の“設計図”です。何を書きたいのか、どういう流れで展開するのかを事前にメモとして書き出すことで、構成がぶれず、内容に一貫性のある文章に仕上がります。
以下に、製造現場での事例をベースにしたメモの例を挙げてみます。
- 役割:
現場の安全・品質・効率を維持しながら、チーム全体の力を引き出すこと - 課題:
ノウハウの属人化解消、改善活動の風土が組織全体に広がること - 解決に向けた行動:
教育ツールの整備と、意見を引き出す仕組みづくり - まとめ:
組織全体の底上げを図るリーダーとして、仕組みと関係性の両面から改善を進めたい
このように、要点を箇条書きでまとめるだけでも、自分の考えを客観視できるようになります。書きながら迷ったときの「指針」にもなるため、ぜひ取り入れてみてください。
例文:ある30代中堅社員の挑戦
では、事前に作成したメモをもとに作成した論文のサンプルをご紹介します。
私は製造部門にて、主に生産ラインの稼働管理と品質改善活動を担当しており、現在は現場リーダーとして5名の班員をまとめる立場にある。私の役割は、日々の生産計画の確実な遂行だけでなく、安全・品質・効率のすべてをバランスよく管理し、チーム全体のパフォーマンスを最大化することだと考えている。
その中で最も重視しているのが「人材育成」である。現場では個々の作業技量に差があり、熟練者に負荷が集中する傾向がある。そこで私は、OJTに加えて作業マニュアルの見直しや動画による教育ツールの導入を進め、若手が自走できる体制づくりを意識している。
一方で課題と感じているのは、「改善提案の風土醸成」である。現場の改善活動が一部の社員に頼っており、アイデアや気づきを共有する文化がまだ根付いていない。私は週1回のミーティングで、小さな気づきでも共有しやすい雰囲気をつくるよう心掛けており、最近では新人からの改善案が実際のライン改善につながった事例も出てきた。
また、安全意識の徹底も重要な課題である。表面的なルール順守にとどまらず、「なぜそれが必要なのか」を理解することで、未然防止につなげる教育が求められる。私は事故事例を題材にした対話形式の勉強会を実施し、メンバー自身が自分ごととして捉える機会を増やしている。
今後は、日々の業務をこなしながらも、中長期的に見て「安全・品質・人材」が自律的に回る職場を目指したい。そして、現場から信頼され、組織全体の底上げに貢献できるリーダーとして成長していきたいと考えている。
まとめ:「正解」ではなく「納得感のある答え」を
昇格試験の論文テーマ「職場における私の役割と課題」は、あなたの考え方と行動スタンスを問うものです。
理想的なリーダー像や評価されやすい言葉を並べることよりも、「自分の言葉で、自分の立場と向き合っているかどうか」が評価のポイントになります。
書き終えたあと、「ああ、私はこういう風に働きたいと思っているんだな」と、自分自身の軸が少し見えるようになっていたら、それはもう立派な成果です。



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