はじめに
管理職登用試験などで実施される「人材アセスメント研修」。
その中でも面接演習は、一般的な昇格面接とは異なり、受験者自身が上司役となって部下役のアセッサー(評価者)と面談を行う演習です。
ケースによっては、限られた時間の中で部下の状況を把握し問題点を整理しながら、今後に向けた働きかけまで行うことが求められます。また、部下役がすぐに本音を話してくれるとは限りません。反論したり消極的な態度を示したりする場合もあります。
「何を話せばいいかわからない」
「相手が想定外の反応をしたらどうしよう」
そんな不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、面接演習の事例を紹介しながら、限られた情報と時間の中でどのように対話を進めればよいのか、演習のポイントと事前準備の考え方を解説します。
人材アセスメントの目的や内容、本番の雰囲気などを知りたい方は、こちらのガイドも参考にしてください。
👉 人材アセスメント研修の全体像をまとめたガイド
面接演習の事例・例題|困った部下との面談
面接演習では、たとえば以下のようなケース設定が与えられます。
あなたは、ある営業所の新任所長。
営業メンバーの1人である部下の勤務態度(遅刻や当日欠勤)が目立っており、現場の雰囲気やチームへの影響も懸念されている状況です。
部下の行動記録を確認すると、以下のような様子がうかがえます。
- 月に数回の遅刻が常態化
- 当日朝に体調不良として連絡が入る欠勤が複数回
- 上司であるあなたへの報告・相談はほぼなし
加えて、同じチームのメンバーからは不満の声が聞こえています。
このような状況を踏まえて、部下との10分間の面談を行います。
限られた時間の中で、何から確認し、部下の話をどう引き出し、今後に向けてどのように働きかけるのか。上司としての対応が問われます。
問題点の整理|どこに焦点を当てるべきか?
ケースを読むと、気になる問題がいくつも見つかることがあります。
今回であれば、以下のようなことが考えられます。
- 遅刻・当日欠勤 → 業務の安定性や周囲との信頼関係に影響
- 報連相の不足 → 上司が状況を把握し、必要な対応を取ることが難しい
- 所内業務への関わり方 → チーム内の不満につながっている
ただし、限られた時間ですべての問題を順番に指摘しようとすると、一つひとつの話が浅くなってしまいます。まずはケース情報から、上司として優先して扱うべき問題は何か、その理由とともに考えてみましょう。
この事例であれば、遅刻や当日欠勤を優先して取り上げる考え方があります。一方で、報連相の不足など別の問題を優先すると判断することもあり得ます。
大切なのは、一つの正解を探すことではありません。なぜその問題を優先するのかを考え、その背景を本人との対話から確認しながら、今後の行動につなげていくことです。
対策のコツ①|まずは「対話のテーマ」を一つに絞る
面談が始まると、ケースに書かれていた問題を「あれもこれも伝えなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、短い時間で複数の課題を次々に指摘すると、部下から事情や考えを聞く時間がなくなってしまいます。
まずは優先順位をつけ、今回の面談で何を確認するのかを明確にしましょう。
たとえば勤務状況を取り上げるのであれば、面談の早い段階で「今日は最近の勤務状況について話したい」と伝えます。
テーマを共有したうえで、事実確認から入り、なぜその状況が起きているのかを聞いていくと対話を進めやすくなります。
対策のコツ②|一方的に注意せず、問いかけて背景を確認する
勤務態度などに問題がある部下を前にすると、つい上司側から注意や指導を続けてしまうことがあります。
しかし、ケースに書かれている情報だけで原因まで決めつけることはできません。
「最近、遅刻が続いているけれど、何か事情はありますか?」
「今の状況について、自分ではどう感じていますか?」
など、まずは本人の認識や背景を確認してみましょう。
もちろん、話を聞くだけで面談を終えるわけではありません。本人の事情を踏まえたうえで、上司として伝えるべきことを伝え、今後どのように改善していくのかを一緒に確認していく必要があります。
面接演習では、相手の話を聞く姿勢だけでなく、状況を把握し必要な働きかけにつなげられるかも重要です。
対策のコツ③|落ち着いた進行と時間配分を意識する
面談時間が短いケースでは、時間配分も重要です。
この事例の10分間であれば、たとえば次のような進め方が考えられます。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 0~2分 | あいさつ、本日の面談のテーマを伝える |
| 3~7分 | 事実確認、本人の認識や背景を聞く |
| 8~10分 | 今後に向けた働きかけ、次の行動を確認する |
これはあくまで一例です。実際には相手の反応によって、予定通りに進まないこともあります。
時間配分に気を取られすぎるのではなく、今どの段階の話をしているのかを意識しながら、最後は今後の行動まで確認できるように進めていきましょう。
本番の雰囲気|部下役が想定外の反応をしたら?
実際の面接演習では、部下役のアセッサーがこちらの問いかけに素直に答えるとは限りません。
たとえば、以下のような展開も考えられます。
- 問題をあまり深刻に受け止めていない
- 自分には事情があると反論する
- 質問してもなかなか本音を話さない
こうしたときに、用意していた進行に無理に戻そうとしたり相手を説得しようとして話し続けたりすると、話がかみ合わなくなることがあります。
まずは相手が何を言おうとしているのかを受け止め、そのうえで必要な事実を確認し、上司として伝えるべきことへ戻していきます。
事前に台本を作ってその通りに話す練習をするよりも、相手の反応に応じて「次に何を確認するか」を考える練習をしておく方が、本番には対応しやすくなります。
📝 関連記事
- 人材アセスメント研修の全体像をまとめたガイド
- インバスケット演習とは?例題・対策のコツ・おすすめ書籍など
- グループ討議演習とは?本番の雰囲気や対策のコツ
- 「試験」だけで終わらせないために|前向きに受ける3つの心得
まとめ
面接演習に、一つの決まった正解があるわけではありません。
重要なのは、ケースの情報から問題を捉え、優先順位を考えたうえで、相手との対話を通じて状況を確認し今後につながる働きかけができることです。
厳しく注意するだけでも、相手の話を聞くだけでも十分ではありません。
限られた時間の中で、相手の反応を見ながら「上司として今、何を確認し、何を伝える必要があるのか」を考えて対応することが大切です。
本番対策のサポートも行っています
当相談室では、記事でご紹介した内容のほか、本番形式のロールプレイを含めた人材アセスメント対策も行っています。
- 面接演習の模擬対策
- ロールプレイ後の振り返りとフィードバック
- 課題に応じた改善ポイントの整理
演習を実際に試しながら準備したい方は、無料カウンセリングからご相談ください。
