【回顧録】管理職になりたくなかった私が、悔しさをばねに管理職になった話

目次

はじめに:管理職って、なんでこんなに嫌がられるの?

管理職にはなりたくない・・・
管理職って罰ゲームだよね


最近、そんな声よく耳にします。特に若手社員のあいだでは、管理職=大変なだけで報われない、というイメージがすっかり定着しているように感じます。

実は、私自身も「管理職なんて大変そう・・・」と思っていたひとりです。責任は重くなって日中ほとんど打ち合わせで不在、何かあれば上席から責められ、部下からも文句を言われて板挟み…。そんな話を聞くたびに、「そんな大変な役回り、自分には無理だな」と思っていました。

でも、そう思っていた私が管理職になり、5年間その立場を経験しました。

たしかに大変なことはたくさんありました。でも、同時に得たものも少なくなかった。むしろ、管理職になっていなかったら、今の私はいなかったと言ってもいいかもしれません。

この記事が、今まさに悩んでいる誰かのヒントになったら嬉しいです。

管理職に興味がなかった私が、悔しさから一歩を踏み出した話

私が管理職としてのキャリアを歩むにあたり、大きな転機となった出来事が2つあります。

1つ目の転機:昇格推薦を見送られたこと

1つ目は、育休復帰目で要件を満たしていたのに昇格試験を受けられなかったこと。

当時の部長に「育休から復帰したばかりだから、今年は昇格試験の推薦を見送ります」と言われ、私は試験を受けることさえできませんでした。

私は長年人事部に在籍していて、自社の昇格試験制度についても理解していたため、昇格要件を満たしていればほぼ試験を受けられるという認識でいました。そのため、自分の推薦を見送られたことに大変ショックを受けました。

気持ちを切り替えるためには正直時間がかかりましたが、次の年には推薦を得ることを目標に、以下を決意し実行しました。

  • 目の前の業務に励み成果を出すこと
  • 上司の期待に応えること
  • 上司に自分の率直な気持ちを伝えること

特に3つ目については、ちょうど上司が変わって新しい上司になったこともあり、率直に自分の残念な気持ちを伝え、翌年の受験に向けてご指導いただきたい旨を伝えました。(緊張しました。)

このような出来事を経て、無事、翌年は昇格推薦をもらい試験にも合格し、管理職一つ前の等級になることができました。

ですが、この段階ではまだ「管理職になりたい」というほどの思いはありませんでした。

2つ目の転機:周囲の男性社員に「追い越された」という思い

2つ目は、周囲の男性社員が私より先に管理職となったこと。

不遜かもしれませんが、正直に言って、その男性社員より自身の方ができるのに・・・という気持ちが心のどこかにありました。その男性社員を責める気持ちはありませんでしたが、納得できない気持ちを抱え、モヤモヤした日々が続きました。

そのような日々を過ごす中で、ある日気づいたんです。他者に先を越されたように感じて悔しい・納得できないということは、私の中にも管理職になってみたい気持ちがあるのかもしれない、ということを。

私は、この経験を踏まえて、管理職になることを少し前向きに考えるようになりました。

 ー 誰かに認められるのを待つのではなく、自分自身の行動をまずは変えてみよう
 ー いつかチャンスが来た時に対応できるように、日頃から管理職になることをイメージしながら行動しよう


正直、目標を達成することや上司の期待に応えることは簡単じゃありませんでした。でもこの2つの悔しい経験が、私を成長させてくれたと今は思います。

いよいよ来た!管理職への打診

私が管理職昇進の打診を上司から受けた時、子どもはまだ4歳で、私自身も時短勤務の身でした。

当時の環境を少し補足すると、我が家は子育てを祖父母に頼れる環境ではなく、夫婦で何とかやりくりする日々でした。

社内の女性管理職の状況はどうかというと、女性管理職はそれなりにいました。業界の中では女性活躍が進んでいる方だったと思います。ただし、当時、私のように子どもが小さい女性管理職、というロールモデルはいなかったのです。

上司との面談で昇進の打診を受けたとき、すぐにこのように答えました。

長時間労働や家族に大きく負担がかかるような働き方は難しいですが、時短勤務のままで問題なければ限られた時間で成果を出せるよう頑張ります。

悔しい思いをし、自分の気持ちと向き合ってきたからこそ、迷わず回答できたと思っています。

管理職になって初めて見えたもの

実際に管理職になってみて、最初の1年は正直とてもしんどかったです。

想像通り、会議は多いし、部下のフォローに追われ、自分の業務が後回しになりがちでした。
何かトラブルがあれば、真っ先に責任を問われる。

でも、少しずつ感じ方が変わっていきました。
不思議と、働き方に“自由”が生まれたためです。

たとえば、会議の設定や進行、タスクの優先順位づけやスケジューリング、課の中の人員配置。それらを自分で考え、決める立場になったことで、家族の予定を踏まえた調整がしやすくなりました。

夫に任せられる日は、重要なタスクを集中してこなす、といったメリハリのある働き方ができました。また、それにより「自分で仕事を動かしている」という実感も湧いてきました。

また、限られた時間の中で成果を出す必要があったこともあり、業務の効率化にはかなりこだわるようになりました。これまでも自身の業務の効率化は徹底して考えていましたが、他部署との連携の仕方や、資料作成の時間の短縮など、「もっとラクにできる方法はないか?」と部署を超えて工夫する力がついてきたのです。

時間に追われることもありましたが、自分なりの工夫と裁量で乗り越える感覚は、一般社員時代にはなかった充実感につながりました。

そして何より、こうした経験を重ねる中で、「もっとこういうことをしてみたい」「こういう働き方をしたい」という自分なりの理想像が芽生えていったことが、キャリア観を大きく変える転機になったと思います。

その後の「退職」という決断

その後、数年経ち私は会社を辞めるという選択をしました。

退職という決断に至るまでにはいろいろなことがありました。「辞めるのはもったいない」「部長を目指すべき」と言ってくれる方もいました。

でも、退職という決断は、正直なところ管理職になったからこそ選べた道だと感じています。やってみて初めて、「こういう働き方をしたい」といった自身の価値観を明確にできたのです。

私にとって管理職とは、「キャリアのゴール」ではなく「視野を広げ、選択肢を増やしてくれた経験」でした。

まとめ:選べるということは、自由を手に入れるということ

管理職は確かに大変です。責任も重く、時には孤独で、誰かの期待と現実の間で揺れることもあります。

管理職になることが、すべての人にとって最適な選択とは限りません。でも、「ならない」と決める前に、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。あなたの中にも、もしかしたらまだ言葉にしていない「やってみたい気持ち」が眠っているかもしれません。

「やる・やらない」は、自分が決めていいのです。これをお読みいただいているあなたが、自分らしい決断ができることを、陰ながら応援しています!

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