はじめに
昇格試験の準備をしていると、ふとした瞬間に、こんな気持ちが湧いてくることがあります。
意味がわからない、くだらない
こんな試験で自分の価値が決まるのか
特に、仕事と両立しながら対策を続けている方や手応えがないまま面接当日を迎える方ほど、こうした気持ちを抱えやすいものです。これらは、多くの受験者が一度は通る感情であり、決して特別なことではありません。
この記事では、昇格試験がつらく感じる心理、気持ちが揺れたときの向き合い方、そして前向きに歩き出すためのヒントをお伝えします。
昇格試験のよくある悩みと不安の乗り越え方については以下の記事でまとめていますので、こちらもぜひ参考になさってください。
👉 昇格試験のお悩み相談まとめ
昇格試験が「意味ない・つらい」と感じやすくなる3つの背景
短時間で評価されることへの不安
昇格試験は、普段の仕事とはまったく違う緊張感があります。
面接官の前で、あるいは文章などで、自分の経験や考えを限られた時間で伝える。その状況に置かれると、普段は意識していない不安が一気に表面化します。
どう見られているんだろう
何を話せば(書けば)正解なんだろう
評価されなかったらどうしよう
こうした不安は、モチベーションが揺らぐ大きな要因です。「意味がない」「もう無理かも」という気持ちが出やすくなります。
準備の負荷が大きく、疲れが蓄積しやすい
多くの方は日常業務と並行しながら対策を進めています。
仕事が忙しい。家庭の時間も必要。そのうえで試験対策となると、心身の負担はどうしても大きくなります。
やらなきゃいけないのに進まない
準備が遅れて焦る
どこまで頑張ればいいのかわからない
こうしたストレスが続くと、試験そのものへの意欲が下がり「こんな試験に意味があるのか?」という思いにつながりがちです。
成長の実感が得られにくい
昇格試験の準備は、短期間で成果が見えやすいものではありません。
面接の話し方も、論文の構成力も、すぐに劇的に変わるものではなく、積み重ねが効いてくるまで時間がかかります。
頑張っているのに良くなっている実感がない
手応えがつかめない
何が正しいのかわからない
こうした手応えのなさも、「意味がない」「くだらない」と感じてしまう大きな要因です。
とはいえ、ある日突然成長を感じるケースも珍しくなく、こつこつと努力や改善を積み重ねることが重要です。
人事の視点から見る、昇格試験がくだらなくない理由
昇格試験は、一見すると「短時間で判断される理不尽な選考」に感じられるかもしれません。
しかし、受験者支援や面接の場に関わる中で実感するのは、昇格試験が単なる合否判定ではなく、受験者自身がこれまでの働き方を整理し、次のステップを考える機会にもなっているという点です。
ここでは、昇格試験が「受験者本人にとってどのような意味を持つのか」という視点から、その価値を整理していきます。
経験を言語化することで、自分の価値観が見えてくる
私は多くの受験者支援を通して、最初は自分の強みをうまく言葉にできなかった方が、対話を重ねるうちに話の輪郭がはっきりしていく場面を何度も見てきました。
普段の仕事は、自分では当たり前すぎて価値に気づきにくいものです。昇格試験の準備を通じて経験を言語化していくことで、「なぜその判断をしたのか」「何を大切にして行動してきたのか」といった価値観や判断軸が整理されていきます。
面接は、その整理された考えを確認する場です。話し方が流暢であるかよりも、経験の意味づけや判断の背景が伝わるかどうかが重視されます。
だからこそ、準備の段階で自分の経験を言語化できている人ほど、面接でも自然と説得力が増していくのです。
昇格試験は「これまでの働き方」を整理する棚卸しの機会になる
昇格試験の準備は、合格のためだけの作業ではありません。
これまでどんな役割を担い、どんな場面で力を発揮してきたのか。上司や周囲から何を期待されてきたのか。
こうした点を整理する、いわば仕事の棚卸しの機会でもあります。
日常業務の中では、立ち止まって自分の働き方を振り返る時間を取るのは簡単ではありません。だからこそ、昇格試験という節目が、自分の立ち位置を客観的に確認するきっかけになります。
合否にかかわらず、この整理ができている人ほど、その後の仕事に対する納得感が高まっていきます。
棚卸しを通じて、キャリアの方向性が明確になる
棚卸しを進める中で、必然的に「自分はどこを目指しているのか」「これからどんな役割を担っていきたいのか」といった問いに向き合うことになります。
面接準備や論文構成を考える過程は、単なる試験対策ではなく、中長期のキャリアの方向性を整理するプロセスでもあります。
これは、昇格の合否とは別の大切な経験のひとつです。方向性が言語化できることで、その後の仕事選択や行動にも一貫性が生まれやすくなります。
気持ちが落ち込んだときの整理方法
ここでは、昇格試験の準備中に気持ちが揺れた時に試してほしい整理の方法を紹介します。
試験準備からいったん距離を置く
合否や他者の評価に気持ちが引っ張られると、冷静さを失いやすくなります。短時間でも良いので、試験から意識を離し、心を整える時間を作ることが回復につながります。
自分の努力を事実ベースで振り返る
感情だけでモチベーションを保つことは難しいものです。
意味があるかどうかの解釈は一度横に置き、これまで取り組んできたことを客観的に書き出してみましょう。事実を整理するだけで、思考の混乱が落ち着き、自分の前進が見えやすくなります。
小さく続けられる習慣を作る
完璧を求めず、短時間のメモ整理やテーマの言語化など、小さく続けられる行動を習慣化するだけでも気持ちは安定します。
精神的な負荷が高いときこそ、短時間でも行動の「リズム」を保つことが効果的です。
一人で抱え込まない
気持ちが沈むと視野も狭まりがちです。
そのようなときは、第三者と話すことで自分では気付けなかった改善点や視点が見えてくることがあります。
昇格試験の準備について不安がある方は、無料カウンセリングもご利用いただけます。状況整理や優先順位づけなど、お一人おひとりに合わせてサポートします。
まとめ
昇格試験を「意味がない」「くだらない」と感じる気持ちは、誰にでも訪れる自然なものです。その感情には、疲れ、不安、期待、願いが混ざっています。
気持ちを整理し自分のペースで準備を進めていけば、必ず次のステップにつながります。
また、企業側がなぜ今も昇格試験という制度を続けているのかを知ると、「理不尽に感じていた理由」が少し理解できることもあります。企業側の意図を知りたい方は、以下の記事も参考になさってください。
