はじめに
ここ数年、昇進・昇格試験を取り巻く環境は変わりつつあります。
AIリテラシーを昇格要件に組み込む企業、ジョブ型人事制度への移行、女性管理職登用を後押しする制度改正。こうしたニュースを目にして、「これまでの試験対策で本当に大丈夫なのだろうか」と感じている方も多いのではないでしょうか。
さらに最近では、新卒採用の現場で「書類選考をやめ、対話を評価の入口にする」という動きも出てきました。これは採用だけの話ではなく、社内の登用・昇格試験にも共通する示唆を含んでいます。
この記事では、2026年時点で見えてきた管理職登用制度のトレンドを整理しながら、昇進・昇格試験の準備にどう向き合えばよいのかを、人事の視点から考えていきます。
昇進・昇格試験を取り巻く3つの変化
① AIリテラシー・DXスキルが前提条件になりつつある
これまで管理職に求められてきたのは、業務経験や調整力、部下育成といった「人を動かす力」でした。
しかし近年は、データ活用や業務の効率化、AIを前提とした意思決定など、「仕組みを理解し使いこなす力」も強く求められるようになっています。
一部の大企業では、AI関連資格の取得を管理職昇格の要件に組み込む動きも出てきました。これは、専門職だけでなく管理職層にも一定のリテラシーを求める時代に入ったことを示しています。
② ジョブ型人事制度と登用プロセスの再設計
ジョブ型人事制度の導入が進む中で、管理職登用の考え方も変わりつつあります。
年次や在籍年数を前提とした一律の試験ではなく、「そのポジションに必要な役割を担えるか」という観点がより重視されるようになりました。
その結果、筆記試験や小論文を単独で実施するのではなく、日常の評価、面接、ケース演習などを組み合わせて総合的に判断する企業が増えています。試験は「ふるい落とすもの」ではなく、「適任者を見極めるプロセス」へと位置づけが変わってきているのです。
③ 書類だけでは測れない時代へ
ここで注目したいのが、「書類評価の限界」という視点です。
新卒採用の現場では、応募書類やエントリーシートの内容が似通い、個人の価値観や思考の違いを捉えにくくなっているという課題が指摘されています。その対応として、書類選考をやめ、短時間の対話を評価の入口に据える企業も出てきました。
この動きは、昇格試験にも無関係ではありません。
事前に時間をかけて作成する小論文やレポートは、考えを整理する上で有効な一方、周囲の助言やツールの影響を受けやすく「本人の力」をそのまま測るのが難しい側面もあります。
そのため今後は、文章の完成度そのものよりも、「その内容を自分の言葉で説明できるか」「質問に対して一貫した考えを示せるか」といった点がより重視されやすくなると考えられます。
なぜ今、「対話型評価」が重視されるのか
管理職登用の目的は、知識量や文章力の優劣を競うことではありません。組織を預けられる人材かどうか、周囲と信頼関係を築きながら判断できるかどうかを見極めることです。
AIやテンプレートが普及した今、形の整った回答は以前より作りやすくなりました。その一方で、「考えの背景」や「判断の軸」は、対話の中でしか見えない部分でもあります。
面接やケース演習が重視されるのは、評価の精度を高めるための、ある意味で自然な流れだと言えるでしょう。
昇格試験の種類と、その中でも面接試験が重視されている理由については、以下の記事でも解説しています。
👉 昇格試験【種類一覧と内容】面接試験が重視される理由
受験者が押さえておきたい3つの視点
① 役割ベースで自分を説明できるか
「これまで何をやってきたか」ではなく、「管理職として何を期待されているか」を軸に、自分の経験を整理することが重要です。
② 文章と対話を切り離して考えない
小論文やレポートはあくまで思考整理の手段です。書いた内容を、面接の場で自分の言葉として説明できるかどうかを常に意識して準備しましょう。
③ 形式が変わっても、本質は変わらない
制度や試験形式が変わっても、「自律的に考え、組織に貢献できるか」という評価の本質は変わりません。流行に振り回されるのではなく、自分の管理職像を言語化しておくことが、最大の対策になります。
まとめ
管理職登用制度や昇格試験は、AI活用の広がりやジョブ型人事制度の浸透を背景に、少しずつ姿を変えています。共通して見えてきているのは、書類や文章の出来映えだけでは人物像を見極めにくくなっているという点です。
試験制度の変化は、不安をあおるためのものではなく、準備の方向性を見直すためのヒントでもあります。
形式的な対策に追われるのではなく、自分がどのように考え、どんな場面で力を発揮してきたのかを言葉にできる状態をつくっておくことが、これからの昇格試験において重要になっていくでしょう。
一人で悩む前に、無料カウンセリングへ
昇格試験の準備に迷ったときは、制度や評価の考え方を一度整理してみることが役立つ場合があります。
当相談室では、試験内容やご自身の状況を踏まえた試験対策のお手伝いをしています。試験対策に不安を感じている方は、まずは無料カウンセリングにてご相談ください。
