はじめに
昇格試験の準備を始めると、多くの方が一度は悩むのではないでしょうか。
上司に相談した方がいいのだろうか。
忙しそうだし、迷惑にならないだろうか。
人事・面接官の立場を経験してきた者としては、上司との連携はやはり重要です。ただし、相談すれば何でもうまくいくという単純な話ではありません。アドバイスの選び方や距離感を誤ると、かえって準備の方向性がぶれてしまうこともあります。
この記事では、上司と連携すべき理由と注意点、アドバイスの取り入れ方についてまとめました。
昇格試験のよくある悩みと不安の乗り越え方については以下の記事でまとめていますので、こちらもぜひ参考になさってください。
👉 昇格試験のお悩み相談まとめ
上司との連携が昇格試験で重要になる理由
昇格試験は、上司評価、試験自体の評価の視点で総合的に判断されます。この二つの評価は、大きく食い違わないことが望ましいのが実情です。つまり、日常で最もあなたを見ている上司の評価と、面接で語る内容などに一貫性があることが重要になります。
そしてもう一つ重要なのは、上司は企業文化や組織の価値観を深く理解している存在だという点です。
どのような人物像が評価されやすいのか。
どんな行動が信頼につながりやすいのか。
これは外部から見ていても完全には読み取れない部分です。
たとえば、挑戦やスピードを重視する企業と、合意形成や調整力を重視する企業とでは、期待されるリーダー像が異なります。こうした文化的な背景は、実際に組織の中で働く上司だからこそ理解できるものです。
上司と話すことで、昇格試験の準備における方向性がしっかり定まり、無駄な遠回りを避けられます。
上司に相談すると得られる三つのメリット
期待される役割が明確になる
昇格試験で最も大切なのは、あなたに求められている役割を正しく理解することです。面接でも、日常の振る舞いでも、この期待役割に沿って行動できているかが評価の軸になります。
上司に相談すると、今のレベル、課題、期待されている役割が具体的に見えてきます。
日常業務のアサインにつながる
面接で語るエピソードは急に用意できるものではありません。日々の業務の中で、少しずつ挑戦を積み重ねていくことが必要です。
上司に相談しておくと、業務の任せ方にも変化が出ます。少し背伸びした案件、他部署との調整が必要な業務、後輩育成の機会など、試験対策にもつながるアサインが増えていきます。
また、昇格面接においても、上司と連携しながら進めた業務は、自然と説得力のあるエピソードになります。
面接で語るエピソードに「組織視点」が加わる
面接官が評価するのは、単なる「自己満足」ではなく、そこに会社の方針やチーム運営の視点がどう反映されているかです。
上司と連携しながら進めた業務は、その背景にある目的や期待が明確になりやすく、「なぜその判断をしたのか」「組織としてどう貢献したのか」を自然に語れるようになります。
たとえば、業務改善を進めたエピソードでも、自分が頑張った話ではなく、「組織の課題を踏まえ、どう工夫して効果につなげたのか」という語り方に変わっていきます。
これは、面接官が重視する「視野の広さ」や「マネジメント視点」を示すことにつながり、説得力のあるエピソードとして扱われます。
忙しい上司に相談する方法
相談したい気持ちはあるものの、上司が忙しいと遠慮してしまう方も多いようです。ただし、ポイントさえ押さえれば短時間でも十分に相談できます。
- 相談の目的を先に伝える(期待役割を確認したいなど)
- 一回につき一テーマに絞り、短時間で終わる
- 月に一度、まとまった振り返りを依頼する
この程度であれば、上司にとっても負担は大きくありません。むしろ、しっかり準備しようとしている姿勢がプラスに働くこともあります。
上司への相談時に注意したい落とし穴
上司はあなたのことをよく知っている心強い味方ですが、アドバイスの背景には上司自身の価値観が反映されています。自分が受験した当時の経験をもとに話すことも多いため、必ずしも今の試験の本質と一致しないこともあります。
ただし、前述のとおり上司は企業文化の理解者でもあります。
どのような人物像が信頼されやすいか、どのような振る舞いが評価されやすいか。これは外部からではわかりにくく、コンサルティングの場面でも悩ましい点です。
だからこそ、上司の助言は取捨選択しながら取り入れるのが効果的です。
上司への相談に関する注意事項は以下の記事でも解説していますので、あわせてご参照ください。

まとめ
昇格試験は、上司との連携によって大きく進めやすくなる場面があります。上司への相談の仕方や距離感を考えることで、準備の方向性がぶれず、試験本番でも自信を持って臨めます。
上司にどう相談すればよいか不安な方や、アドバイスの取捨選択が難しいと感じる方は、第三者の視点を取り入れるのも有効です。
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