はじめに|「指導する力」が問われている
管理職登用試験で実施される「人材アセスメント研修」。
その中でも「面接演習」は、単なる模擬面接ではなく、あなた自身が上司役として部下と面談を行う演習です。
とはいえ、実際に与えられるのはたった10分程度です。
しかも、部下役を演じるアセッサー(評価者)は、あなたを“試す”ような対応を取ることもあります。
「何を聞けばいいかわからない」
「説教になってしまいそうで怖い」
「時間が足りず一方的に終わってしまう」
そんな不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
本記事では、限られた情報と時間の中で、どう「効果的な対話」を組み立てるか、演習のポイントと事前準備の考え方をお伝えします。
ケース概要|「困った若手社員」との面談
面接演習では、以下のようなケース設定が与えられます。
あなたは、ある営業所の新任所長。
営業メンバーの1人である部下の勤務態度(遅刻や当日欠勤)が目立っており、現場の雰囲気やチームへの影響も懸念されている状況です。
部下の行動記録を確認すると、
- 月に数回の遅刻が常態化
- 当日朝に「体調不良」として連絡が入る欠勤が複数回
- 上司であるあなたへの報告・相談はほとんどなし
加えて、同じチームのメンバーからは不満の声が聞こえています。
そんな中、営業所にたまたまその部下が戻ってきたため、あなたは10分間の面談を実施することに。
この短い時間で、部下に気づきを促し、勤務態度の改善につなげられるか――それが、この演習の課題です。
見るべき問題点の整理|どこに焦点を当てるべきか?
このようなケースでは、「すべての問題」を指摘しようとすると、時間が足りず逆効果になることもあります。
演習で大切なのは、優先度の高いテーマをまずは一つに絞って、しっかりと対話することです。
今回であれば、以下のような視点で問題点とその背景を整理すると良いでしょう。
- 遅刻・当日欠勤の頻発 → 信頼関係・業務の安定性に影響
- 報連相の欠如 → 上司としての把握・対応が困難
- 所内業務の回避傾向 → チーム内の不満
ここで焦点とすべきテーマは、「遅刻・当日欠勤」です。
なぜこの点が問題であるのかを明確にし、この行動の背景にある事情を部下から引き出しした上で、自ら改善の必要性に気づかせることが目標となります。
仮に、「報連相の欠如」や「所内業務の回避傾向」をテーマとして選んだ場合も、「なぜそれが最も問題だと考えるのか」を上司として説明する必要があります。
対策のコツ①|まずは「対話のテーマ」を一つに絞る
面談が始まると、「あれもこれも伝えなきゃ」と焦ってしまいがちです。
しかし、10分間の面談で複数の課題を指摘するのは非現実的。優先順位をつけて、テーマを絞りましょう。
このケースであれば、まず取り上げるべきは「勤務態度の安定化」です。
その上で、具体的な行動――「遅刻の常態化」や「当日欠勤の頻発」などに焦点を当てます。
面談の冒頭では、簡単なあいさつ(アイスブレイク)を済ませた後、速やかに本題に入ります。
早い段階で「今日は、最近の勤務状況について話したい」と、面談のテーマを明確に伝えることで、部下側も心の準備ができます。
対策のコツ②|「注意」ではなく「問いかけ」で深掘る
勤務態度に課題がある部下に対して、つい「どうしてそんなことをするのか?」と責める口調になりがちです。
しかし、この試験で見られているのは、「部下と関係性を築きながら、行動改善につなげられるか」という点です。
そこで意識したいのが、「注意する」ではなく「問いかける」姿勢です。
問いかけを通じて、部下の本音や背景を聞き出すことができれば、対話は一歩進みます。
行動を変える第一歩は、”自分で気づくこと”なのです。
対策のコツ③|落ち着いた進行と時間配分を意識する
10分間という制限の中では、ペース配分がカギです。
以下はひとつの進行イメージです:
時間 | 内容 |
---|---|
序盤(0~2分) | アイスブレイク、面談のテーマを伝える |
中盤(3~7分) | 現状についての事実確認、部下の考えを丁寧にヒアリング |
終盤(8~10分) | 今後に向けての働きかけ、まとめと次のアクションの確認 |
ポイントは、話す量より「聞く姿勢」を重視することと、本人の考えを引き出す問いを用意しておくことです。
本番の雰囲気|“わざと困らせてくる”アセッサーにどう向き合う?
実際の演習では、部下役のアセッサーが、以下のような“やりにくさ”を演出してくることもあります。
これは、あなたがどれだけ冷静に、建設的な対話に持っていけるかを見ているのです。
焦らず、「まずは聞く」「共感するポイントを見つける」「一方的に注意しようとしない」
――これらを心がけることで、相手の意見を引き出そうとする姿勢が伝わります。
まとめ
面接演習において正解は一つではありません。
大切なのは、相手の話を聞いたうえで、今後につながる関わり方ができるかどうかです。
- 厳しく言うことが正解ではない
- 甘く流すことが良いわけでもない
- 「この上司なら話せる」と思ってもらえる関係性づくり
限られた時間の中でも、あなたらしい誠実な対話の姿勢を伝えましょう。
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